FC2ブログ
topimage

2019-09

歴史を俯瞰視すると - 2019.09.03 Tue

午前中、フォンテーヌ絵画教室での仕事でした。通常の実技の途中で30分程、先日のブログで挙げました美術史のプリントを配布して講義しました。
メインはルネサンス~シュルレアリスムあたりですが、例えばルネサンス期の画家が描いた作品の、合理的な空間表現(線遠近法)や油絵の技法の発展が如何に素晴らしく、その人体表現がそれまでと比べて如何に正確かつ生き生きとしたものなのかを、歴史の流れを説明しながら対比すべく、ビザンティン美術やロマネスク美術も話しました。

今回の講義は、これから毎月初回の授業日に行おうと思っています「知識ゼロからの西洋絵画 困った巨匠対決」(山田五郎 著/幻冬舎 発行)を教材にした絵画史や作家史のお話をするための、導入として行いました。

日本人は美術館の来館者数が世界でもトップクラス。美術館は歴史に残る名画の実物を目の前にして愛でる事の出来る、またとない眼福の機会と思います。
そういった機会そのものは既に多く持っているだけに、そこへ歴史の知識が少し加われば、更に深く楽しめると思いました。
例えば、ファンアイクとレオナルド、どちらも人間技を超越した油彩画の技術を確立したルネサンス期の画家ですが、ファンアイクの方が50年も前に生まれていて、活動時期が半世紀も離れています。彼が代表作「アルノルフィーニ夫妻像」を制作したのはレオナルドの生誕前。
アルプス以北とイタリアの地理的解離もあり当時ネーデルラント(現在のオランダ・ベルギー)で急速に発展した油絵の技法がイタリアまで伝わっていなかったのか、実はレオナルドが活動した70年も前に、既に彼を上回るほどの技術がネーデルラントで行われていた事。
それどころか、ファンアイクが前述の作品を描いたとされている1434年は、イタリアでボッティチェリが「ヴィーナス誕生」を描く半世紀も前。しかもボッティチェリのそれは油彩ではなくテンペラ画。 イタリアで油絵の具の使用そのものがまだ本格的に始まってもいない頃に、ネーデルラントにおいては遥か高水準に達していたのが伺えます。 このように同じ時代における、異なる地域の歴史も並置して俯瞰視すると改めて驚くことがあります。
また、自身の納得する作品を描く事を納期の約束よりも優先し遅延や反故も頻繁だったレオナルドに対して、注文を断らず膨大な量と質を備えた作品(それも彫刻と絵画の両方)を制作したミケランジェロ。 各々のプロフェッショナル観の相違。 或る作家と或る作家の関係を知ると、最初は個人的に興味を抱いた一人の作家から調べ始めても、途中で他の作家のことも知りたくなると思います。(生涯誰の影響も受けず完全隔離の状態で活動した作家はほぼおらず、漏れなく誰かの影響、追随、反論、発展などの関係が伺える)

もちろん描かれているモノの形、色彩、構図、絵具の置き方(筆さばき)、といった絵画の造形性のみを注視した見方も良いと思いますが、これから美術を深く知ろうとする方にとって、画をただ見ているだけよりも、少しの知識を片手に携える事で、画を更に楽しむきっかけになればと思っています。

NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール 

安冨 洋貴 (ヤストミ ヒロキ)

Author:安冨 洋貴 (ヤストミ ヒロキ)
★ 画家・日本美術家連盟会員
夜の心象光景を鉛筆で描いています。 下の「カテゴリ Category」に、略歴、作品画像など詳しく在ります。

★ 作品のご用命、お問い合わせは、下の「メールフォーム」、または
東邦アート株式会社(03-5733-5377 http://www.tohoart.com/)へ、お願いいたします。


【フォンテーヌ絵画教室・開講日】
10月8日 (火) ※第2火
10月22日 (火) ※第4火
11月5日 (火)
11月19日 (火)
12月3日 (火)
12月17日 (火)
香川県高松市鍛冶屋町1-2 榊原ビル2階 ギャラリー ラ・フォンテーヌ
(上記の日の、10:00~12:00)
ご見学、1日体験受講もございます。
詳細は↓こちら↓。
http://hirokiyasutomi.blog111.fc2.com/blog-entry-2192.html 


■ 「50周年記念 薔薇展」
11月13日(水)~19日(火)
玉川タカシマヤ
(東京都世田谷区玉川3ー17ー1
電話 03-3709-3111)


● 平成31年高校3年教科書「美術3」
(光村図書出版株式会社) の、「鉛筆の可能性」の頁に、作品「雫の器」を掲載しています。
詳細は↓こちら↓。
https://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyokasho/k_bijutsu/31bi/index.html

● 電子書籍 「洋画1 素描と絵画」
(京都造形芸大 東北芸術工大 出版局)の、第2部・第一章に、「鉛筆による静物画表現」 を著述しています。
詳細は↓こちら↓。
http://hirokiyasutomi.blog111.fc2.com/blog-entry-2468.html

カテゴリ Category

プロフィール (1)
Biography (1)
作品テーマ (2)
Statement (2)
展覧会 (78)
文献・メディア (37)
絵画講座 (2)
日記 (1524)
雑記 (180)
作品 Works 2019  (1)
作品 Works 2018  (1)
作品 Works 2017  (1)
作品 Works 2016  (1)
作品 Works 2015  (1)
作品 Works 2014  (1)
作品 Works 2013  (1)
作品 Works 2012  (1)
作品 Works 2011  (1)
作品 Works 2010  (1)
作品 Works 2009  (1)
作品 Works 2008  (1)
作品 Works 2007  (1)
作品 Works 2006  (1)
作品 Works 2005  (1)
作品 Works 2004  (1)
作品 Works 2003  (1)
作品 Works 2002  (1)

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブログ内検索

QRコード

QR

月別アーカイブ

おすすめ

最新記事