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2017-07

映画「魂のリアリズム」 / 絵画制作における写真の利用 - 2014.08.27 Wed

美術学校での授業後、シネ・リーブル梅田で野田弘志先生のドキュメンタリー映画「魂のリアリズム」を見に行きました。
学校本部は京都にあるのですが、私が担当します授業は大阪のサテライトで行っています。 そこから映画館まで徒歩12分ほどでした。

映画では、モチーフであります鳥の巣との出会い、キャンバス張り、下地塗り、カーボントレース・・・と時間枠の多くを下準備の工程の紹介に取られていました。その工程自体は一般的な工程なのですが、野田先生の画もこうして皆と同じ工程で始まっているのかと思いますと少し感激しました。
描画に入りましても、大まかな明暗によるアンダーペインティングの段階が延々と続きます。 画面空間で最も奥になります壁(或いは床)を塗り込み、そこに映る影を描き、小枝の前後感、巣としての空間表現、と重ね塗りを経て、表面を部分描写的に描くのは最後の数分となっていました。
完成した作品の表面、私たちが作品を見るとき眼に映っている表面の深奥に、きちんとした理解に基づく空間の意識、陰影表現(アンダーペインティング)があるからこそ、画面内の空間が破綻せず保たれるのだと思います。

ところでこの映画において野田先生は終始写真を見ながら描き、画を完成させてます。 実物の巣は写真撮影の後、元あった場所に返し、制作中に実物を見ることはしていないようです。 実際は確認のため再度見に行っているかもしれませんが、少なくとも終始実物を観察しながら描くという形ではありません。
私も制作に写真を利用していますし、美術学校やNHK文化センターでの授業でも使っています。 
制作に写真を使うか否かは、目的やコンセプトの面から考えるだけでなく、描き手の個人的なやり易さや描き易さに帰結してよい話であり、絶対的な良し悪しは無いと思っています。必ず現物を見ながらじゃないと描けないという作家もいますし、必ず写真を一度通してからじゃないと描けないという作家もいます。
未だ絶対的なタブーと見られている感もあります写真を見ながらの制作ですが、もっと世間に認知されてほしいと思います。
野田先生はモノの実在感を表現する事に重きを置く写実表現におきまして、スケッチなどと同じく、作品を描く為の資料メモの1つとして、写真の利用を認めています。
また私のように写真を、現実とは異なる幻視を孕んだもう一つの世界と捉え、モチーフとして利用している者もいます。
現場レベルではもはや当然のような事だけに、各作家における写真の使い方、関わり方等を、美術雑誌等で特集されましたら知的好奇心を満たす面白い記事となるかもと思いました。

今日の美術学校での授業では額装の説明もあり額装した作品を3点持って行きましたので、それを持っての往復は大変でしたが、高層ビルとオープンカフェの並ぶ通りの夜景は素敵で、初めて歩く道は心地良い緊張感で、ここも描けそうな予感がしました。

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安冨 洋貴 (ヤストミ ヒロキ)

Author:安冨 洋貴 (ヤストミ ヒロキ)
★ 夜の心象光景を鉛筆で描いています。 下の「カテゴリ Category」に、略歴、作品画像など詳しく在ります。

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